あなたは大企業かベンチャー企業のどちらの方が活躍できるか、評価されるか知りたいのではないでしょうか。実はそれぞれ評価のされ方は結構な違いがあります。人事評価方法の違いが分かればあなたのスキルや働き方にあったキャリアを選択しやすくなります。
大企業とベンチャー企業のどちらも経験した私が評価制度の違いを説明します。
人事評価制度の重要性
全く同じプロセスで同じ成果を出したとしても、評価のされ方次第ではあなたの査定結果や昇進の有無などは変わってきてしまいます。
やりたいことで企業を選ぶのももちろんですが、自らが評価されやすい場所を選ぶということもキャリア選択の軸としてはポイントになります。
人事評価制度はもちろん企業によって違います。しかし大きく分けると大企業とベンチャー企業で傾向が分かれてきます。次にその傾向の違いを紹介していきます。
大企業で人事評価制度や査定のポイント
大企業では評価制度はあるものの評価の基準が曖昧であることが多いです。目標や実績が定量的に明確に定められないことが多々あり、定性的に判断されやすいです。また実績よりもプロセスの方に重きが置かれます。
その理由は、事業の規模が大きくなればなるほど業務が細分化されるからです。一人ひとりのパフォーマンスが測りにくいのです。例えば担当している商品で100億円の売り上げを達成したとします。その成果に対して商品開発、マーケティング、営業、その企業のブランド力など、様々な要素が複合的に絡み合い、一人の成果を分解して取り出すことが難しいのです。
また昇給や昇進は入社年次で横並びが基本です。初めの数年はほとんど差がつきませんし、入社年次を逆転するようなケースは課長まではあまりありません。部長になれるかなれないかのステージで差が大きくなりはじめます。
つまり大企業での人事評価はプロセスなど定性的な側面に偏り、昇給や昇進で差がつきにくいです。
ベンチャー企業で人事評価制度や査定のポイント
大企業よりもベンチャー企業の方が評価の項目や基準が明確である場合が多いです。ベンチャー企業の方がその人の役割に対する目標や成果がわかりやすいことが理由にあげられます。
またベンチャー企業では査定において年齢や入社年次などに関係なく差がつきます。そして基本的に入社半年後以降から査定の対象になり、すぐに差がついていきます。
もちろんのことですが、金額の大きさや昇給ペース、または減給の有無については企業により大きく異なります。企業により業績や報酬制度などはバラバラなので、ベンチャー企業だからといって必ずしも成果さえ出せばどんどん給料、賞与、年俸、役職などが上がっていくわけではないことに留意してください。
つまりベンチャー企業での人事評価は定量面での評価もしっかりとなされ、昇給や昇進で差がつきやすいです。
私自身の大企業、ベンチャー企業それぞれの経験
私はまず新卒で大企業に入社しました。その後転職でいくつかのベンチャー企業を経験しました。
大企業時代、入社6-7年目まではそもそも役職などにおいて他の同期入社社員と差がつきませんでした。差がつくのはボーナスの数万円程度です。私はどんなに頑張っても報酬が大きく変わらないことに嫌気をさしていました。その後も少しずつ差がついていきますが、入社年次を逆転するような差が出てくるのは40代以降でした。ただ、私の退職後はその企業でも人事制度が大きく変わり、査定でそれなりに差をつけるようになったようです。
また査定の元となる目標や成果に対する評価などはかなり曖昧でした。成果や実績というよりもプロセスの方が重視されていました。また、この人はデキる、と思われているかどうかが非常に重要です。評価が固定されやすかったのです。一度デキる、もしくはデキないと評価されると、それが人事評価として引きずることとなります。
その後ベンチャー企業ではまず目標が定量的にきっちりと数字で表されており、成果も実績を定量的に評価されていました(自身も上司として評価していました)。自分の成果の達成率などがクリアに出ることが大きな違いでした。また評価基準も具体的に規定されており、定量、定性それぞれなにをどう頑張れば評価されるか理解しやすかったのです。評価もその期(クオーターや半年)によって成果が異なって出てくるので、大企業のように評価を挽回したり、逆につまずいて評価を落とすような逆転劇も起こりやすい状況でした。大企業に比べて公正であり、成果を出そうとモチベーションも上げやすかったのです。また査定に応じて役職や給料も差がつきやすく、スピーディーにキャリアをのぼっていくことができました。大きく成果が出たときは、昇給額に驚いたこともありました。大企業からベンチャーへ転職して給料を落としましたが、ハイスピードで給料を上げていくことに楽しみを覚えることができました。またストックオプションなどもベンチャーの魅力ですが、こちらは査定でもらえるというよりも入社時にどれくらいもらえるかが決まっているケースが多いです。
就職や転職の前に企業の評価制度を理解すべき
大企業とベンチャー企業では評価の方向性が異なるので、どちらが自分に向いているか考えてみましょう。企業選びの段階で評価制度を理解しておくことで、入社後の活躍のしやすさが変わってきます。
また、入社前にその企業の評価制度を可能な限り把握することも重要です。就職サイトや転職サイトに詳細の評価制度などが記載されているケースはあまりないです。しかしその企業がどんなことを重視しているか、どんな人材を求めているかを理解することで評価の方向性を探ることができます。そして面接の中でズバリ聞いてしまうべきです。私が転職活動をしていたときは必ずヒアリングをしていました。また、私が企業で面接官を担当する場合、面談において採用候補者の方が評価制度について質問をいただければ具体的に回答をしています。
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