これからはアート思考の時代!ロジカル思考、デザイン思考との違いは?

キャリア

アート思考という概念をご存知でしょうか。ロジカル思考、デザイン思考の次にきている重要な思考法と言われています。全く新しい領域のゼロイチ立ち上げに適していると言われているアート思考とはそもそも何か、またロジカルシンキングやデザイン思考などとも比較についても整理します。

アート思考とは何か?

アート思考とは何でしょうか。アートと言っても絵画や写真、音楽、演劇、映画、現代アートなど芸術活動のこと自体を指している訳ではありません。ちなみにアート思考は概念自体が新しく、明確な定義は定まっていません。また、アート思考のメソッドも確立されているものではありません。

アート思考とはアーティスト、芸術家がアートを創造する思考プロセスを応用して、独創的な発想をビジネスに生かす考え方です。アートを創造する際にまずは課題自体やテーマから模索していきます。その源には個人の思い、哲学、信条などがあります。既存の枠組みや常識に囚われない自由な発想を重視します。個人個人が理屈を超えて打ち立てる問いが重要であり、そこには多様性を内包しています。

アート思考はイノベーションの源、イノベーションの行為、イノベーションの成就といった3つのプロセスから成り立っています。ここに創造性を生み出すアート制作のエッセンスが詰まっています。

特に変動性が高く将来の予測が困難なVUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityの頭文字をとった造語)と言われる今の時代には、これまでの価値観や前提の延長線上ではないアート思考で自分の価値観に基づいた独創的な考え方が重要だと言われています。

アート思考のメリット

アート思考ではデザイン思考の欠点であるゼロベースで新しいアイデアやプロダクトを生み出すことに長けています。ゼロイチの場合、一般的には非現実と思われることでも、独自の創造的な発想により新たな価値を生み出す可能性を持っています。

また、ロジカル思考やデザイン思考では課題に対しての解決策が競合他者と横並びになる可能性が大きいです。課題に対して各社正しくアプローチができればたどりつく回答が同じになりかねません。アート思考は多様な発想を生み出す為、差別化という観点では長所があります。

ただ逆にデメリットとしてはアートとビジネスの相性の悪さがあります。自由な発想は良いもののをそれが本当にビジネスになるのか、役立つのか、という観点では必ずしも正しいものばかりではないはずです。アート思考で考えついた発想を冷静に評価するべきという考え方もあります(ロジックでは評価できないという考え方もありますが)。

woman draw a light bulb in white board
Photo by Andrea Piacquadio on Pexels.com

アート思考のプロセス

それではアート思考をどのように実践すれば良いのか。アート思考で考えるプロセスの一例を紹介します。

  1. 自らの内なる声を内省したり、信条や哲学に照らし合わせて「自分は何をやりたいのか」のWILL、つまり意志を考え抜く
  2. 自分の意志を起点に問いを立て、その課題を認識する
  3. その問いに対して、解決策が広く共感されるか、美しいか、実現可能か判断する
  4. その問いや課題に対する自分なりの回答、解決策を考え抜く
  5. その回答が改めて自らの信条や哲学に即しているものか照らし合わせて評価する

またアート思考の素地を身につけるために様々なアート作品やアーティストに触れる事も重要です。そのアートがどのような思考から作られるか、背景を意識して考える事でアート思考の考え方が身に付きやすくなりえます。

アート思考を取り入れる企業も

アート思考を導入している企業としてMicrosoft(マイクロソフト)が有名です。また、日本企業でもパナソニックや丸紅が新規事業促進の一環としてアート思考の要素を取り入れています。また凸版印刷は研修に座禅を取り入れて新規事業につなげたいと考えています。

ロジカルシンキングやデザイン思考との違いは?

ロジカル思考(ロジカルシンキング、論理的思考)とは論理や数字を用いて筋が通っていることを客観的に説明する考え方です。日本では2001年に「ロジカル・シンキング」の本が出版されたことをきっかけに流行しました。ロジカル思考は演繹法、帰納法、弁証法の3つの論法をベースに成り立っています。このロジカル思考を用いることで誰でも物事を筋道立てて本質的に捉え、原因を突き止め、その解決方法を考えることが可能となりました。これはビジネスマンにとっての必須スキルとなりました。ロジカル思考の次に流行ったのがデザイン思考です。

デザイン思考(デザインシンキング)とはユーザーの本質的なニーズを見つけるためにデザイナーの思考する方法を用いた考え方です。デザイン思考で重要なのは、ユーザー視点に立ち、プロトタイピング(試作を用いた検証や改善を重ねる手法)によりテストを繰り返して課題を解決することです。デザインファームのIDEO創業者ティム・ブラウンはデザイン思考を「課題解決策にたどりつくためにデザイナーが使用する様々なツールを活用する方法だ」と述べています。デザイン思考のプロセスとしてはハッソ・プラットナー教授が掲げる「デザイン思考の5段階」が有名です。その5つの段階とは1.共感 (Empathise)、2.定義 (Define)、3.概念化 (Ideate)、4.試作 (Prototype)、5.テスト (Test)です。

デザイン思考を経営に取り入れることをデザイン経営と言いますが、デザイン思考やデザイン経営を取り入れている企業を見てみましょう。Google(グーグル)やApple(アップル)、ソニー(SONY)、P&G、トヨタ自動車などのグローバル企業での採用が有名ですが、他にもYahoo! JAPANなどのIT企業、日立製作所、楽天、ZOZO、Spotify、ユニクロなどあげればキリがないほど非常に多くの企業でデザイン思考が取り入れられています。今や課題解決方法の主流となっています。

ロジカル思考とデザイン思考は課題に対しての解決方法ですが、アート思考は自由な発想をもとに課題自体を設定して創造していく考え方です。言い換えるとロジカル思考とデザイン思考は課題に対して収束させていくものですが、アート思考は新たな課題を自由に設定する、つまり発散させていくので方向性が異なります。

これら3つの思考法を簡単に整理すると以下のようになります。

思考法概要
ロジカル思考 論理を用いて客観的に筋道立てる課題解決の考え方
デザイン思考 デザイナーの思考法をベースにユーザーのニーズを見つける課題解決の考え方
アート思考 アーティストの思考法をベースに自らの価値観をもとに問いを立てる考え方

あなたもアート思考を取り入れてみましょう

ロジカル思考、デザイン思考の後はアート思考が重要だと考えられています。キャリアを考える上でアート思考は非常に強力な武器になるでしょう。アート思考を身につけるためには、マインドフルネスを取り入れ、常に自らのうちなる想い、問いを考え続けることが重要です。VUCAの時代、このアート思考を取り入れ自らビジョンを立てて、未来を描いていきましょう。

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